アトリエ・アリスワン

フリーランスライター・ディレクターの竹内ありすです。

取材が好きなわけ|建前と本音、どっちが聞きたい?

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こんにちは!ありすぅです。

 

私が好きすぎて仕事にしたものの中に、「取材」があります。「調べて材料を集めること」をさしますが、とりわけ人から話を聞くことが好きです。

 

今まで社会人としての生活を5年やってきて、数えきれないくらいたくさんの人の話を聞いてきました。そして、話していただいたことをもとに、文章や映像を用いて表現し、テレビ画面などを通して伝えてきたのです。

 

今回は私がどうして取材が好きなのかについて、お話しします。

 

 

 

■きっかけは放送部!

 

友人に誘われて、中学2年生で放送部に入りました。

 

もともと自分の言葉で話して伝えることが苦手で、おまけに自分の声も嫌いでした。そして、このまま大人になりたくないと思っていたのです。友人も放送部での活動を楽しんでいるのが伝わってきたのが、入部の決め手でした。

 

 

「放送部」というとお昼の校内放送を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、通っていた中高ではお昼の放送は無し。昼休みはゆったりお弁当を食べたかった私にはぴったりでした!(小学生でも放送委員会に興味があったけど、給食を急いで食べないといけないのが嫌で入らなかったくらい、お昼の時間は大切です)

 

校内放送がなければ何をしているのかというと、発声練習をしたり、NHKニュースの原稿を先生が用意してくれてそれを読む練習をしたり。放送コンクールもあったので、朗読の練習もしていました。

 

入部してみたら活動がとにかく楽しくて、高校生になっても放送部に入ることにしました。

 

 

■「取材」に出会う

 

放送部に入部したての中学2年生では本の一部分を抜粋して読む朗読をやっていたけれど、ある日「アナウンス」という部門があることを知りました。

 

アナウンス部門」とは、校内外で人から話を聞いて、それをもとに1分半くらいの原稿を作成して自分で読み上げるというもの。

 

中学3年生に上がるころ、学校に新聞社の方やラジオパーソナリティーの方が来て取材の一部始終を見せてもらう機会があったので、「せっかく読み上げる原稿、自分でも書いてみたい!」と思ったのです。

 

それで朗読部門からアナウンス部門に転向しました。

 

残念ながら、中学生のときはどんな原稿を作って読んだのかほとんど覚えてないのですが、高校時代は1年間に2本ずつ、大会用に取材原稿を書いて練習しました。

 

原稿は、たった1分半のボリューム。読んでしまうと本当にあっという間の中、どれだけの情報や思いを盛り込むことができるのか。接続詞や語尾一つで文章のリズムも意味も変わってしまう。

 

難しくもおもしろく、原稿作りはパズルを解いているようでした。

 

 

 

■17歳、忘れられないエピソード

 

高校2年生。これまでは身近な人にインタビューして原稿を書いてきたけれど、どうしても会って話を聞いてみたい方ができ、大会用の取材をお願いすることになりました。

 

お願いのため電話をする手が震え、あいさつ用のお菓子を買う手が震え、その方が待つ会社に行くバスでガタガタ全身が震え、、、つまりとても緊張しました。

 

1時間ほどお時間をいただき、用意していた質問に沿って語っていただく取材をするひととき。

 

私がある質問をしたとき、その方に言われたのが「建前の回答と、本音の回答、どっちが聞きたい?」という言葉。

 

……そんなこと今までの人生で言われたことがなかったので、面食らってしまったのです。

 

 

「取材とは、その人の生の言葉が聞けるまたとないチャンス」「でもこれ、あくまで高校生の視点から書く原稿だし…」「でも、ここで建前とか言ったらやる気のない人だと思われないだろうか」「ああでも、本音の回答を聞いたら原稿なんて書けないかも」

 

 

言葉を投げかけられて数秒考えたのち、出した答えは「建前でお願いします」でした。

 

そしてしばらくして、無事に原稿は完成。はじめてその方のことやその方が行う取り組みを知る人にとっても魅力が伝わるであろう、過不足ない文章になったと思います。

 

 

だけど、私はあのとき「本音が聞きたい」と言えなかったことがずっと忘れられません。

 

本音を聞いたとしても高校生の自己満足なのかもしれないけれど、その方が本当に伝えたかったことを知ることができていたら、書き上がった原稿はもっと違うものになったかもしれませんよね。

 

そして、こうした悔しい経験をしたからこそ、今もまた取材が好きで続けたいのだと思います。今度もしその方に会う機会がまたあったら、そのときは本音を聞きたい。

 

私の目標のひとつです。