ウェブマガジンが雑誌に!「Things.」出版記念トークイベント
こんにちは、竹内ありすです。
なんだかお久しぶりになってしまいましたが、今回はイベントレポートを書きます!
新潟のウェブマガジン「Things.」の「Things Magazine」が発売ということで、出版記念イベントに行ってきました。
「Things.」といえば、新潟にお住まいの方なら一度は記事を目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
一人でイベントに参加するのはドキドキ、でもとっても楽しみ!そんな気持ちで過ごしたイベントについて、今回はレポートします。
「Things.」、そして私
「Things.」とは、新潟の印刷会社である株式会社ジョーメイさんが運営しているローカルウェブマガジンです。
2019年春にスタートしてから4年と少し、1日も欠かさず毎朝7時に新しい記事を更新していて、今では1500近くの記事が公開されています!(毎日更新だなんてすごすぎる…)
公開されている記事に書かれているのは、新潟の人、モノ、ことについて。インタビュー形式が多くて、ときどきファッションスナップや小説なども。
ニュースや月刊誌とはまた違った雰囲気で情報を届けてくれる「Things.」の記事を、私はひそかに毎朝楽しみに過ごしてきました。
というのも、テレビディレクターとして新潟県内のお店や人をリサーチする機会が多かったこともあり、店名や人名を検索すると「Things.」の記事がよくヒットするんですよね。いくつか記事を読むうちにすっかりファンになってしまい、会社のパソコンのブックマークにも登録し、出社したらメールのチェックとセットで最新記事を読むほどに(笑)穏やかな空気感が、つい気の張ってしまう朝にぴったりなんですよ!
そんな「Things.」がウェブを飛び出して紙としての書籍を出版することを知ってずっと気になっていたのですが、5月末に更新された記事に出版イベントのお知らせがあり、作り手のお話を聞いてみたくて参加申し込みをしたのです。
会場は「上古町の百年長屋SAN」
「Things Magazine」出版記念イベントの会場となるのは、これまた気になっていたスポット「上古町の百年長屋SAN」。
(写真撮影を失念していたので、SANさん公式Instagramよりお借りしました)
白山神社前からのびる上古町商店街にある、築100年の古民家を再活用して2021年の冬にオープンした複合施設です。
2階建ての「SAN」には、喫茶店やギャラリー、コワーキングスペースやワークショップなどができるスペースも充実。築100年の趣を生かしつつ、ポップな色合いの内装にときめく空間となっています。
今まで入口のショップコーナーにしか立ち入ったことがなく、イベント会場となる2階にあがるのは初めてでした。
今回のイベントは、ワンドリンク付き!一人での参加に緊張ぎみだったので、新潟のビール「風味爽快ニシテ」をオーダーして気持ちをゆるめるとしましょう。
(このあと、前の職場の先輩が来ていることに気づき、一緒に座ってもらいました!久しぶりの再会が嬉しくて、一気にゆるみました)
「Things Magazine」の誕生秘話、根掘り葉掘り
今回のイベントは、トークショーと交流会の2本立て。まずは、「Things.」チームのメンバーによるトークショーです。
登壇したのは、
・「Things.」立ち上げからディレクターをつとめる藤田雅史さん
・株式会社ジョーメイにて、
2022年から「Things.」エディターとライターをつとめる金子結乃さん
そして聞き手は、「上古町の百年長屋SAN」副館長の金澤李花子さん。
(登壇者のおふたりはこちらの記事でも紹介されています!)
トーク内容は、
・「Things.」の雑誌を作ろうとしたきっかけ
・初めての雑誌制作で苦労したこと
・両方の作り手だからこそ感じる、ウェブマガジンと紙媒体の違い
・1500記事の中から、雑誌に収録する50記事分をどうやって選んだのか
・次号の予定は?
などなど。イベント参加者からの質疑応答も交え、1時間があっという間に感じられるボリュームでお話いただきました。
「Things.」のいちファンとして、仕事のリサーチで活用させていただいた立場として、そして今、ライターとして記事制作をしていく上で、「こんな工夫をしているんだ」「こんな流れで運営していたんだ」と参考になる情報ばかりでメモが止まりませんでした。
なかでも私が印象に残ったのは、表紙を「新潟っぽくしていない」ということでした。
表紙には緑いっぱいの空間の中、一人の黒い服の女性が後ろ姿で走っている写真がどーん。帯には「新潟のローカルウェブマガジン」と書いてありますし、「Niigata」の文字も載っているけれど、帯をとってしまえばどこの街の本なのか分からなくなるんですよね。
・1500記事の中から、50人のインタビューをダイジェストで載せる
・記事には新潟で活動する人や店のことが語られる
という内容であれば、「新潟の50人」と題して50人の顔写真を並べたデザインにすることだってできる。
でも、あえてこの表紙にした理由として、「コミュニティを横断する存在でいたいから」と立ち上げメンバーの藤田さんが話していました。表紙のデザインが、「Things.」というメディアそのもののスタンスを物語っているようです。
ここで、「Things Magazine」の冒頭からちょっと文章を引用させていただきます。
「へえ、この街にこんな人がいるんだ」
「あのお店って、そういうお店だったんだ」
「ちょっと食べに行ってみようかな」
誰がどんなことを考えてやっているのか、
ほんのちょっとでも知ることで、
行きたくなるかもしれない。
好きになるかもしれない。
だったらいいな、という、
これはそんな、ちょっとした雑誌です。
(「Things Magazine」1ページより)
まさに読者としても、「Things.」を読んでいると「先週ランチしに行ってきたお店の店主って、こんな意外な経歴があった方なんだ…!」「あのお店、よく通りかかっていて気になってたけど、こんな素敵な方がやっているなら良い時間が過ごせそう。行ってみようかな」なんて、ちょっと自分の安心できる場所が増える感覚というか、世界が優しく広がっていくような感覚があるんです。
(あと、読んだ記事は思わず誰かにシェアしたくなるところも「Things.」を好きなポイント!)
ちょっと話が戻りますが、私自身も「たとえば隣の人の頭の中を知ることができたら、生活や人生ってちょっとずつ豊かになっていくんじゃないかな」と学生の時に思ったことが、今の仕事につながっています。それから、郷土愛ももちろんある。
そのあたりの思いは過去の記事でも詳しく書いてます↓
atelier-aliswan.hatenablog.com
「Things.」では、基本的にオンラインのインタビューはしていないそう。新潟の会社が運営するウェブマガジンとして「自分の足で直接訪れて話を聞くこと」を大切にした結果、「この街」「あの店」の舞台が新潟になっているんだなということが分かりました。
「Things.」の運営にあたって、「コンセプトはしっかり決めていない」という言葉も意外でしたが、なんというか、「新潟」という主語が大きすぎないからこそ、「Things.」はいろんな人に読み物として受け入れられるし、発信する側も毎日フラットな気持ちで新しい記事を生み出していっているのではないかな。=コミュニティを横断していける
そんなことも感じました。
数あるウェブメディアの中でも、独自の空気感で更新を続ける「Things.」。そこから生まれた「Things Magazine」を手に取りながら、作り手たちのお話を聞くことができる、贅沢な時間を過ごすことができました。
交流会のおみやげ
トークショーのあとは、交流会に参加。「Things.」編集部の方々をはじめ、イベントに参加されたみなさんとお話しできる時間が設けられました。
一人一人とじっくり話してしまったあまり、全員とお話しできなかったことは悔やまれますが、「Things Magazine」を手にしているという共通点で出会えたみなさんは、それぞれに個性的なバックグラウンドがあったり思いがあったりと、素敵な方ばかりでした。(株式会社ジョーメイにはいま、「Things.」をきっかけに入社した社員さんもいらっしゃるそう!)
会場となった「SAN」もそうなのですが、新潟市内もコワーキングスペースがいくつかあるので、これを機にちょっと行ってみようかなと思ったり。「Things.」や「Things Magazine」が編集部メンバーにとっての「あったらいいな」を形にした結果だったように、私も「あったらいいな」を妄想する時間をもっと持ってみたいなと思ったり。
「これからこうしていこう」という、おみやげがたくさんです。
「Things Magazine」
「Things Magazine」を手に取ってみて、そしてイベントでお話を聞いて、これからの「Things.」がますます楽しみになりました。
「Things Magazine」は、これから何度も読み返す大切な一冊になりそうです。私だけではなく、手に取ったいろんな方にとっても。
「Things.」編集部のみなさん、「SAN」の金澤さんや運営スタッフのみなさん、一緒に時間を過ごした参加者のみなさん、楽しい学びをありがとうございました!
「Things Magazine」は、新潟県内の書店や新潟市内のセブンイレブンのほか、オンラインストアでも送料無料で販売中だそうです!
<イベント概要>
「Things.」出版記念トークイベント
2023年6月2日(金)19:00〜
「上古町の百年長屋SAN」にて