アトリエ・アリスワン

フリーランスライター・ディレクターの竹内ありすです。

十年一昔

こんにちは、竹内ありすです。

 

f:id:atelier-aliswan:20230823172030j:image


フリーランスになってはじめての夏、少しばかりの休暇をとって日常を離れるひとときを過ごして気づいたことを今回は綴っていこうと思います。


10年ひと昔


20代後半になってから特に、「十年一昔」という言葉を思い出しては10年という長さを想う時間が増えたような気がします。


「十年一昔」というのは、10歳のときに父がくれた言葉。


当時は20歳が成人でしたから、その半分の10歳(小4)のときに小学校で「2分の1成人式」が行われました。それに際しての保護者からのメッセージに、その言葉は書かれていたんですよね。

 

たしか「十年一昔という言葉があるように、時間はあっという間に過ぎていくものなのだから大切にしなさいね」という意味を込めたものだったと記憶しています。のんびりダラダラしている私はよく、「“時は金なり”だよ!」と言われていたし。


10年前というと、2013年。高校3年生で18歳!


だんだんそれより前のことは忘れつつあるのですが、高3の夏ってなんだか忘れ難いんですよね。


実家から持参した交換日記を読み返す


今は関東で暮らしている中学生時代からの友人がお盆シーズンに帰省してきて、時間を作ってくれたので会いました。


本町市場のすぐ近くの昼から営業する居酒屋でランチ。魚料理のおいしい定食を頼み、小さいグラスだからランチ酒してもいいよねとか言いながら中瓶のビールで乾杯して。雨も降らず猛暑が続いているので、太陽が空のてっぺんにある時間に飲むビールはとにかく心身に染み込みます。

 

f:id:atelier-aliswan:20230823172158j:image


彼女は少食というわけではないけど一口で食べる量が驚くほど少なくて、よ〜く噛む。学生の頃から誰よりもお弁当を食べるのが遅くて、昼休みは彼女が食べ終わるのをみんなで待ちながら、だいたい喋って終わってた。そんなスピード感は今も健在で、中瓶ビールをふたりで分け合ってちびちび飲むだけではほろ酔いにもならないのです。


お腹がいっぱいになったところで日差しを避けてアーケードの下を歩いて喫茶店へ。夏が来れば必ず飲みたくなるアイスカフェオレを注文したら、私たちのメイン行事が始まります。

 

f:id:atelier-aliswan:20230823172240j:image


私が取り出したのは、実家から持参した交換日記。中学生から高校生にかけて書いていたものです。通学カバンの中で他の教科書やノートと一緒にしても目立たないように、A4サイズの何の変哲もないノートを使っていました。


10年以上経ったからようやく読み返す気になったけど、それまではなんだか気恥ずかしくて。「実家で交換日記見つけたんだけど!」とLINEしたら、友人が「久しぶりに見たいな」と言ってくれたので「交換日記を読み返す会」が実現したのです。


1.タイムカプセルを言語化したらこんな感じ


自分にとって都合の良いことや都合の悪いことしか覚えてない出来事って、あると思うんですよね。ノートの中に書かれていたのは、何気ない日常の出来事や悩んでいること、最近ハマっていること、そしてそれぞれに対しての相手の見解。


自分自身は何を考えていたのか、それに対して周りからはどんなふうに捉えられていたのか。ひとりで考えていたらグルグルしがちな物事を言語化してノートに書く習慣を持っていて良かったな、交換日記やっていて良かったなとまずは思いました。


「“性格が悪い”ってどういうことだと思う?」「“死ね”って言葉を言う人はどういう気持ちなのかな?」……嫌なことがあったときはただただ「不快だ」とか「あの人ひどい」と思うだけじゃなくて、出来事の背景を考えてみる。これもひとりでやろうとすると難しかったけれど、友人と言葉を交換することで発見があっておもしろかったみたいです。


2.身の回りのものを美化して勝手に恐れていなかったか?


「察してもらおうとしないで、ちゃんと言葉にしてほしい」なんて、今でも家族に言われるけれど。


高校生の頃を今振り返ってみると、自分にとっての世界って日々過ごしている教室の中とか、習い事とか、家とか、とにかくせまくて濃いものでした。そんな中でも取れるコミュニケーションの量って限られているから、その分悩みも尽きなかったんだと思います。授業中だって同じ空間にみんなでいるのに、静かに前を向いて話を聞いていなきゃいけなかったし。


好きな人とか、本音で話してみたい相手のこととか。その日たった一度だけ交わした言葉や見えた表情からいろんなことを考えて、「きっとこう思ったんじゃないか」なんて考えて頭の中が忙しくなる感じ。


いろいろなことを美化して、勝手に恐れていた対象が多かったかもしれないな。


3.圧倒的睡眠不足


交換日記を書いている暇があったら寝なさいと言いたくなるほど、ティーンの私たちは睡眠不足でした。朝早く起きて通学して、部活して、遅く帰ってきて大量の宿題をして寝て。


「今って何時間寝てる?」「うーん、7時間半くらいかな」「あ、私もそんなもんだわ」「この時はどんなだったっけ?」「6時間半は寝たいなみたいなこと言ってたよね」「あ、ここにも書いてあるわ。そりゃ授業中眠くなるわぁ」


私の睡眠不足を一番心配してくれていたのもこの友人で、毎回ページの最後には「いっぱい寝なさい」と書いてありました。お母さんかよ。


この日、交換日記をすみずみまで読みすぎたせいで近況報告もあんまりできなかったから、今度は今とか未来のことを話す時間を作りたいな。


あまちゃんの再放送


「十年一昔」を特に感じるのが、『連続テレビ小説あまちゃん』の再放送です。今、 NHKBSプレミアムで朝7:15からやってるんですよ。


今観ても「なんでこんなにおもしろいんだろう!」って色褪せないし、主人公以外の登場人物の気持ちも分かるようになって楽しみ方も奥深くなりました。


あまちゃんが放送されていたのは2013年の春〜夏。ちょうど10年前なんです。

 

f:id:atelier-aliswan:20230823172323j:image


高校3年生で部活と受験勉強にてんてこまいの私でしたが、「なんか今やってる朝ドラがおもしろいらしい」と噂になっていたので途中から観はじめて、まんまとハマりました。


ざっくりいうと東京で地味で暗い高校生をしていた主人公が岩手に来て周りに愛され、アイドルを目指すドラマです。小ネタや掛け合いが奥深くて、毎日2回ずつは観てましたね。高校でも流行っていて、ワンセグが観れるガラケーを持っている子にこっそり教室で観せてもらったりして。


そんな10年前の夏を思い出して懐かしくなるような、身の回りの出来事を挙げますね。


私は高校3年生の秋まで放送部で活動していました。


放送部にも大会があります。自分たちで作った番組や朗読、ニュース原稿などを発表して審査してもらうというもの。私は身の回りの人に話を聞いてニュース原稿を作り、自ら読んで伝える「アナウンス部門」が主な担当でした。


引退前、最後の大会に臨むために取材相手として選んだのが他のクラスの女の子。彼女は音楽活動をしていて、歌がすっごく上手で。一学年の人数も多いので話したことはなかったけれど、「高校生にして自分の得意分野があって輝いている人ってすごいな」と思って話を聞きたくなったのです。


最後の大会の期間を大切に過ごすことができたのも、ニュース原稿に彼女が作ったオリジナルソングの歌詞も入れてお守りにできたおかげ。緊張していても、歌詞をゆったりと口ずさめば気持ちが落ち着いて元気になれました。


……あれから10年。私はフリーランスのライターになって、県内のお出かけスポットやグルメなどを取材して記事を書くようになりました。彼女とも再会を果たします。


彼女は今、伝統的な民芸品の職人さんになっていました。


伝統を受け継ぐだけじゃなくて、自ら今の時代にあったものの開発もしていて。形は違えど、10年前も今も自分の作ったものを人に届ける姿勢は凛としていて、かっこよかったです。

 

 

おわりに


今を「10年ひと昔だあ」と振り返るのは、38歳か。あんまり想像がつきません。でもここまで10年前を振り返って懐かしくなれるなんて、大人になったんだなと思います。